取材依頼

あなたを取材させてほしい――そんな趣旨の連絡が来たのは私が負けに負けていた昨年の九月頃だ。全財産数百万を賭した無謀な挑戦を克明に記した当ブログがスタッフの目に留まったのだろう。本当に、ネットというのは誰が見てるかわからない。昔付き合ってたあの人や、生き別れた父なんかももしかしたら何かの拍子に見るなんてことがあるのだろうか。クソ気まずい。

しかも某国営放送からだ。正確にはその下請けの制作会社か。某国営放送の名前が葵の御紋の様に見えた。頭が高いと言われてる気がしたのも束の間、この口上述べるのって助さんだっけ格さんだっけとどうでもいい疑問が頭を過ぎる。しかし、全く以って、某国営放送が私にコンタクトを取ってくるとは。受信料お願いしますよと訪問された上京当時以来だ。

このブログに連絡フォームは確か無い。はずだ。依頼は唐突にコメントフォームに書き込まれた。初コメントの場合こちらの公開承認が必要になるので私は管理画面でその内容を読んだ。こんな感じだ。
「負けてる人の傾向が知りたい。取材させてくれ。(超意訳)」
すごい。この依頼はとんでもない。勿論ビジネス敬語で埋め尽くされていたがマジでこんなことを言ってきやがってる。私は震えた。為替とはなんて怖い世界なんだ。財産をほぼ失い、さらにそれを公共放送で詳らかに語れと。公開処刑とはまさにこの事だ。キングギドラの物議を醸したトラックの不穏なイントロが始まる。いやあああ、と布団をかぶった。そして数分後に思い出したようにPCの前に座り真顔でその依頼コメントをゴミ箱に入れた。

あの番組、本当に放送されたのだろうか。ふと気になる皐月の午後であった。

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